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学長が聞く、学長に聞く―第8回―学生を輝かせる、明星大学のもう一人の主役(前編)

小下 健彦(教職事務センター主任)×落合 一泰(学長)

大学にいる人といえば、まず誰を思い浮かべますか?学生や先生でしょうか?そのほかにも大学には、学生が存分に学べるよう支える人たちがいます。そんな中から、教職事務センターの職員として学生をさまざまな角度からサポートしている小下さんにお越しいただきました。小下さんは明星大学の卒業生です。コロナ禍の今、母校や学生に対してどんな想いをもって日々働いているのか伺いました。

知っているようで知らない「大学職員」というお仕事

落合学長 今回は、本学の人文学部心理・教育学科(現・心理学部心理学科)を卒業して本学に入職し、学生と接する第一線で長く活躍している小下さんにお越しいただきました。

小下さん よろしくお願いします。

落合学長 まず、小下さんが大学職員としてどのような仕事をなさっているのか、教えていただけますか?この対談を読んでくれる学生、特に高校生に、仕事を通して人はどのように自分を磨いていくのかを知ってもらえればと思っています。

小下さん ご紹介いただいたとおり、私は本学を卒業してすぐに明星大学に入職しました。最初は通信教育部の配属でした。その後は学生サポートセンターを経て、現在は教員・保育士を志望する学生をケアする教職事務センターで働いています。社会人学生が大勢いる通信教育部と10代後半から20代前半の学生が主体の通学課程では、学生から受ける相談内容も私たちの支援内容も異なります。同じ大学のなかでも、学生を支援する形はさまざまなんです。

落合学長 接する学生は年齢も違えば、それぞれの背景や学修の目的も違う。一人ひとりに対応することが大事なんですね。

小下さん そうです。学生一人ひとりに最善の選択をしてもらいたい。ですから、アドバイスする私たち大学職員もさまざまな知識やスキルを身につけておく必要があります。

落合学長 たしか小下さんは、いろいろな資格を取得されていますよね。「産業カウンセラー」とか「スチューデントコンサルタント」とか。

小下さん すべて入職してからです。学生サポートに必要だと思うたびに勉強してきました。

落合学長 これまで通信教育部、学生サポートセンター、教職事務センターという3つの部署で仕事をなさってきたと伺いました。そのそれぞれで小下さんが学んだことには違いがありましたか?

小下さん まず通信教育部では、職業人としての基礎を学びました。学生対応の仕方や、教育職員免許法やカリキュラムなど教職に関する知識も身につけました。通信教育部には、学校で教員として働いていて、さらに上の資格を目指そうという学生、企業で働きながら教職をめざす学生などが大勢います。ですので、私は学内で働きながらも、一般社会とのつながりをいつも強く意識していました。

落合学長 大学を卒業してすぐ職員になったわけですから、それは貴重な経験でしたね。

小下さん 最初の部署が通信教育部でよかったと思っています。そこで2年間勤務したころに、旧・学生課と学生支援センターが合体して学生サポートセンターができました。そのタイミングで新組織に配属になりました。それまでは通学課程の学生と接する機会が少なかったものですから、はじめのうちは通信教育部の時のように、大人と大人の接し方をしてしまいました。すると、学生たちは緊張してしまったんです。これはトーンを変えなくてはと思い、まわりの職員の振る舞いを見ながら、学生との距離感をつかんでいきました。

落合学長 相手に応じたサポートが必要と感じ取って、現場で自分を変えていったのですね。

小下さん はい。また、私のスキルや持っている知識、情報量が学生の人生に大きな影響を与える可能性があると気づきました。職員としてできることは何でもやらなくては、という責任感や職業意識が強くなりました。

落合学長 資格取得も、学生のためにという一念だったのですね?

小下さん そうです。学生対応の質を高めるために「産業カウンセラー」や「スチューデントコンサルタント」などの資格を取得しました。同僚もさまざまな資格を幅広く所持していたので、大きな刺激を受けました。また、当時の課長の勧めもあって、筑波大学の「マネジメント人材養成プログラム」にも通い、他大学の職員とともに「大学マネジメント」を学びました。

学生や大学を、いろんな視点で見ることが大切

落合学長 どんなことを学んだのですか?

小下さん 学生一人ひとりを支援するという局所的な視点と、大学の基本方針を踏まえた全体的な視点の両面を学んだことが大きいです。最初は本学の収支なども把握しておらず、恥ずかしい思いもしましたが、とても勉強になりました。

落合学長 明星大学の多くの職員が、職業人としての自分をそうやって磨いているのですね。頼もしい限りです。
いま、学生を支援する上で、局所と全体を往復させながら考えることが大事だとうかがいました。その「複眼思考」が職場では大切ですよね。一人ひとりの個性と向き合うことも必要ですし、大学という組織の動きや学生全体を把握することも欠かせません。そうした複眼的な視野は、いまのお仕事でどんな風に生かされていますか?

小下さん 教員や保育士をめざす学生をサポートする教職事務センターでは、とりわけ個々の学生への視点が大切になります。教員採用試験に向けての指導や、教育実習・介護等体験の指導などは、個人のめざす方向性などを踏まえて行なっています。一方で、学生指導については、大学全体や部署ごとの方針に基づかなければいけません。ですから、あまり個別に寄りすぎてもいけない。そのバランスを取る時に、部分と全体を見渡す観点がおおいに役に立っていると感じます。

落合学長 個々の学生には、具体的にどのように寄り添うのですか?

小下さん たとえば、教育実習期間中に迷いが生じて、実習に価値を見出せなくなった学生が出たとします。実習先に迷惑をかけてはいけませんから、そうした時は、まず私たち事務職員がすぐに話を聞きます。そして必要に応じ、授業面であれば教員に、メンタル面であれば学生相談室の専門家に、進路面であればキャリアセンターにつなぎます。実習先との調整も行います。学生が適切な支援を受けられるよう、学生の立場に配慮するよう心がけています。

落合学長 学生に対してはもちろんのこと、教員や別の職員や外部との間にも入って、奔走してくださっているのですね。学生に対し私たち教員ができない部分も多々ある中で、職員のみなさんが大きな役割を果たしてくださっている。本当に感謝しています。

小下さん ありがとうございます。私の想いとしては、職員が学生や先生たちを補い支えているというより、学生、教員、職員がそれぞれの役割の中で強みを生かしながら、ひとつの目標にともに向かいたい。そういう感覚なんです。

落合学長 学生、教員、職員が一丸となって、明星大学の学びを一緒に創り上げていこうという姿勢ですね。小下さんの卒業生らしい素晴らしい考え方を教えていただきました。

後編に続きます。

落合学長01

小下主任01

小下さん仕事風景

▲学生と面談中の小下さん(教職事務センター)