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学長が聞く、学長に聞く―第15回―Society 5.0時代に向けて、新生・理工学部スタート!(前編)
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学長が聞く、学長に聞く―第15回―Society 5.0時代に向けて、新生・理工学部スタート!(前編)

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櫻井 達也 准教授(理工学部 総合理工学科 環境科学系)×落合 一泰(学長)

Society 5.0時代に活躍できる人材を育成しよう!この目的に向け、理工学部は大幅なカリキュラム改革を行い、2023年4月から新生・理工学部に生まれ変わります。今回はカリキュラム改革の中心メンバーである櫻井先生に、社会とのつながりを重視した新しい理工学部の学びについてうかがいました。受験を控えて学部選びに迷っているみなさんも、ぜひ読んで参考にしてください。これから学ぶべき道がパッと目の前に広がるかもしれません。

Society 5.0
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させ、人が生きていきやすい社会を作り、経済発展と社会的課題の解決を両立させていく近未来の日本。
それは、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)の先にある、新たな社会のあり方です。政府は第5期科学技術基本計画を2016年に立案し、わが国が目指すべき未来社会の姿としてSociety 5.0を提唱して、その実現を推進しています。

これからの時代を見据えた4コース体制

落合学長 理工学部は、1964年の開学と同時にできた明星大学で最も伝統ある学部です。その理工学部が大きく変身して、来年4月に新たなスタートを切ります。学生にとりもっとも大切なカリキュラムを、新たな時代の求めに応じて一新したというのが最大のポイントです。そのあたりをぜひ聞かせていただこうと、今回のカリキュラム改革のリーダーである櫻井先生にお越しいただきました。
 
早速ですが、櫻井先生がカリキュラム改革プロジェクトに携わるようになった経緯を聞かせてもらえますか。
 
櫻井准教授 学長室の秘書チームの方から、学長・副学長と話していただけないかと言われたのが最初でした。「あれ、何かやらかしたかな?」と不安に思いながら席についたら、これからの理工学部について率直な意見を聞かせてほしいと落合学長に求められました。そこで、私なりの考えをお話ししました。それがきっかけになり、若手の教員を中心に教職員が一丸となって刷新に取り組もうという、今回のカリキュラム改革プロジェクトが立ち上がりました。
 
落合学長 すでに出来上がっているプログラムをいったん解体して再構成するのは、大仕事です。櫻井先生をはじめとする若手グループのみなさんは、次世代育成に何が必要かを深く考え、あちこちと交渉し、別の意見があっても根気よく話し合い、最終的に素晴らしい新カリキュラムをまとめてくださいました。では、その新生・理工学部の教育の特長を教えてください。

櫻井准教授 理工学部は、今までは5つの学系(物理学系、生命科学・化学系、機械工学系、電気電子工学系、環境科学系)で構成されていました。それを、2023年度から4つのコース(物理学コース、化学・生命科学コース、機械工学コース、電気工学コース)に改めます。時代が求めている環境科学がコースから外れるのはなぜ?と思う方がいるかもしれませんね。これは意図的なんです。環境科学は、ESGやSDGs、ELSIなどとならんで、これからの時代を生きるすべての理工学生が土台にしなければいけない学びです。そこで、どのコースにも必要だという観点から、全学生が履修できる共通科目として配置することにしたんです。

ESG
環境(E: Environment)、社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉。自社の利益を目指すだけでなく、環境への配慮、社会的課題の解決、透明性ある経営体制があって初めて、企業は長期的に成長できるという考え方です。そうした姿勢を欠く企業は、投資家からお金を集めにくい時代にもなってきました。

SDGs
持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)は、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されました。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標で、17のゴール・169のターゲットから構成されています。地球上で「誰ひとり取り残さないこと(leaving no one behind)」を誓っています。

ELSI
倫理的・法的・社会的課題(Ethical, Legal and Social Issues)の頭文字で、エルシーと読みます。生命科学のような新しい分野や技術を研究開発し社会実装する際に生じうる、無視できない人文学的・社会科学的な課題を総称します。たとえば「クローン人間」を生み出す技術が開発された場合、それは科学だけの話に止まらないはずです。
こうした課題を学生と考えようと、明星大学は2023年度に、生物学と哲学の先生が一緒に講義を行う新授業科目「ELSI(科学技術における倫理的・法的・社会的課題)」を、誰でも受講できる全学共通教育の一環として始めます。

落合学長 櫻井先生のご専門である環境科学が、学部全体に溶け込んでいくのですね。
 
櫻井准教授 おっしゃる通りです。大量生産・大量消費の経済優先から転換して、環境に配慮した上で経済成長していこうという「グリーンリカバリー」の観点は、すでに多くの企業が取り入れています。学生の皆さんも社会に出てから必ず必要になるので、知っておいた方がいいと思います。

グリーンリカバリー
コロナ禍で冷え切った世界経済の復興に向けた「アフターコロナ政策」のひとつ。脱炭素社会や循環型社会の実現を組み込んでいます。

理工学部の新しいカリキュラムには、大きな特長が3つあります。
①  より深い分野横断的な学び
②  Society 5.0時代に即したデータサイエンスを中心に据えた数学教育
③  イノベイティブな思考で価値を創造する課題解決型授業

いずれも、環境、人口、高齢化など人類を取り巻いている複雑な諸問題に有効な答えを見出していくためには欠くことができません。理工学を志す者なら身につけてほしい知識です。
 
落合学長 これからの社会を見据えた、新たな学びが待っている感じがしてワクワクしますね。

入学後に所属コースを選べる「フレキシブル枠」

落合学長 カリキュラムの特長を説明していただきましたが、入学後の学び方にはどのような新しさがあるのでしょうか?
 
櫻井准教授 より一人ひとりに合った学びが選択できるようになりました。「私はこの学科で学ぶ」と最初から決めている人も、「色々と興味はあるけど、具体的な専門分野までは決めかねている」というように迷っている人も入学後にしっかり学べる仕組みを作りました。
 
落合学長 具体的には?
 
櫻井准教授 まず、どのコースに入学した学生でも1年生からさまざまな科目を履修できるようにしました。最初は基礎となる理科、数学科目に加えて、概論科目というものを設置しています。概論科目とは、理工学のさまざまな分野を横断的に広く学ぶ科目です。さらに、これまでのコース別入試に加えて「フレキシブル枠」を導入します。日本語なら「柔軟枠」ですね。フレキシブル枠で合格した学生は、1年次の横断的な学びを踏まえて、2年次に所属コースを選択します。1年生の間にいろいろ学んでから、自分の専門を決めたい人にオススメです。大学で 1 年間、基礎科目や概論科目、基礎実験科目などを体験し、「自分が本当に面白いと思うのは、この分野だ!」と見極めてから、自分の進路を選べるわけです。例えば「機械と電気で迷っていて、どちらに進みたいか決め切れない」という場合でも、フレキシブル枠で入学した学生なら、1 年生の間に機械・電気両方の概論科目を履修したり、それぞれの分野の実験を体験したりしてから、進路を選ぶことができます。「両方学んでみたら、自分には電気の方が合っているな」と感じたら 2 年生から電気工学コースに進めばいいですし、「いろいろやってみたら、機械でも電気でもなく物理が面白かった!」となったら物理学コースに進むこともできます。

落合学長 まさにフレキシブル、柔軟なんですね。

分野横断的な学びを実現するカリキュラム(大学案内2023 p.15より)

学ぶ目的が明確になる「専門プログラム」

櫻井准教授 人間って“何のために学ぶのか”が明確になると頑張れますよね。そこで、そのための仕組みも考えました。大学では、さまざまな分野の多種多様な講義が開かれています。その多くは「選択科目」です。自分の目的に合った講義を自由に選んで履修することができるわけですね。でも、「目的に合わせて講義を選ぶ」って、結構難しい。そこで、目的別に複数の科目をまとめた「専門プログラム」という科目パッケージを新たに作りました。このプログラムのメリットは、学生さん自身が何を勉強したいのかを明確に意識できるようになること、そして、就職活動の際に学んできたことをはっきり相手に伝えられることです。

落合学長 将来、航空宇宙の開発に携わりたい人はこの専門プログラム、自動運転を研究したい人はあの専門プログラムと、大学での学びと自身の目的が一本の道でつながるわけですね。
 
櫻井准教授 そうです。他大学の場合、宇宙に興味があったら、物理学科で天文分野の科目を中心に勉強します。でも、明星大学理工学部の新たな専門プログラム「宇宙科学」には、宇宙から 届く光について学ぶ光学の科目なども加えました。物理学に止まらない幅広い知識が得ら れるようにしたということです。さらにいいところは、プログラムの中に他コースの科目が入っていることです。たとえば、機械工学コースの「航空宇宙プログラム」。そこにも天文学を配置しました。天文学といえば物理学コースで学ぶのが普通ですよね。そこにこうした仕掛けを入れて、学生が興味を広げられるようにしているんです。
 
落合学長 工学分野(機械工学)と理学分野(物理学)がそこでクロスしている、と。名前のとおり、まさに「総合理工学科」ですね。
 
櫻井准教授 そうなんです。それからもうひとつ。3年生になると、他コースのプログラムを履修できるようにもしました。たとえば、天文学に興味を持つ物理学コースの学生さんが「宇宙科学プログラム」を履修しているとします。3年生になって就職を考え始め、もう少し工学的な知識が欲しいとなりました。そんな時は、機械工学コースの「航空宇宙プログラム」を履修すればいいわけです。宇宙という共通のキーワードの中で、理学から工学まで広く学べる仕組みです。
 
落合学長 1年生、2年生と学んでいくうちに、興味や関心が広がっていくことがあります。そうした場合には、3年生で他コースのプログラムを自分の学びに加えることができるわけですね。人間の興味は、出会いの中で常に変わり続けるものです。学修者の学びたい気持ちに寄り添ったプログラムだということが良くわかりました。

専門プログラムの数々。あなたの一番の関心はどこに?広がっていく興味に応じた学びで 将来を拓いていきましょう

後編へ続きます。

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