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学長が聞く、学長に聞く―第20回―受け継がれる明星大学の「思いやり文化」(後編)

品川 七海さん(教育学部教育学科音楽コース2023年3月卒業)×落合 一泰(学長)

前編では、品川さんが勤労奨学生として取り組んできたこと、高校生や下級生にどのように向き合ってきたのか伺いました。続く後編では、サークル活動や教育学科音楽コースで得たことについてお話いただきます。さらに学長への質問では、思わぬ新情報が!?この後編には、学生一人ひとりが生き生きと輝く明星大学の魅力がたっぷり詰まっています。

サークル活動で、教職の勉強で。人と真剣に向き合う日々。

落合学長 品川さんはサークル活動もされていたそうですが、どんなことをしていたのですか?
 
品川さん 「明星大学音楽ボランティアサークル Freedom Music」に所属していました。「聴いてくれる人を笑顔にしたい」というのがモットーで、私が1年生の時には熊本地震で被災した方を訪ねて演奏会をさせてもらったり、大学の近所に集会所に出向いて地域の方々と月に1度、一緒に歌を歌ったり食事をしたりしながら交流していました。コロナ禍になってからは、各自が家でスマートフォンを使って演奏や歌唱を撮って、それをつないでYouTubeで公開しました。最近はボランティアの要素は減っていますが、音楽で人を笑顔にするという根っこの部分は変わらないので、ぜひ応援をお願いします!

「明星大学音楽ボランティアサークル Freedom Music」のみんなと!

落合学長 品川さんは、サークルでも人の役に立とうという活動をしていたのですね。では、教育学科音楽コースでの勉強について聞かせてくれませんか?
 
品川さん 私は他のどこでもなく、明星大学の教育学部に入って本当に良かったと思っています。がんばれば、小学校、中学校、高校の教員免許状が同時に取れるのが、音楽教師をめざす私には最適でした。実際に入学してみると、土曜日まで大学に来たり、沢山のテストがあったりと小中高すべての免許状を取得するための勉強は大変でした。2年生の時の教育インターンシップでは、まだ知識が浅いうちから現場に出て大丈夫かな?と不安でいっぱいでした。でも、リアルな教育現場を目の当たりにすることで、改めて教員になろうという意思が強まり、その後の進路選択にとても役立ちました。何度も挫けそうになりましたが、音楽コースの先生や教職センターの職員の皆さん、論作文講座でお世話になった先生方の励ましのおかげで、教員採用試験を最後までやりきることができました。
 
落合学長 教育学科の学生のなかには、教職から進路変更して一般企業に就職する人もいると聞きます。何をきっかけに進路を再考するのでしょうか?
 
品川さん 子どもが好きで教育インターンシップに行ったけれど、それだけでは教員はやっていけないと思い直した人。クラス全員の学習や命の責任を持つのは自分には難しいと感じた人。教壇に立つよりICTなどを活用した教材を作る側になりたいという自分に気づいた人などがいます。実際の教育現場に行ったからこそ、新たな選択ができたという人たちです。教育インターンシップや教育実習を経ることで、そのまま教員をめざす人も進路を変更する人も、どちらも前向きの選択ができていると思います。
 
落合学長 みなさんが真剣に教育と向き合ったからこその判断なのですね。聞くところによると、本学で2年生の教育インターンシップが始まった当初は、受け入れ先の学校を確保するのが大変だったとか。今では「明星大学の学生に来てほしい」と学校側から声がかかることが増えているそうですね。これも歴代の先輩たちの頑張りが評価につながったのだと感心し、感謝しています。ところで品川さんは2023年の4月から晴れて小学校の先生になるわけですけど、どんな抱負を持っていますか?
 
品川さん 最近、音楽嫌いな子が中学・高校で増えてきているように私は感じています。音楽は好きだけどみんなの前で歌ったりするのが恥ずかしかったり、音符が読めなかったりして苦手意識を持っているという声を教育実習先の児童生徒からも聞きました。そこで私は、小学生に音楽の楽しさを伝えて、その先の人生を歩んでいくなかで音楽をもっと好きに、身近に感じてもらえるような音楽教育をしたいと思うようになりました。なによりも、児童生徒が成長していく中で、先々の進路の可能性の幅を一人ひとり広げてあげられる教員になりたいと思っています。

教育実習でのひとこま

学生が主役として輝いてこその、クロッシング。

落合学長 素晴らしいですね。今後の活躍を大いに期待しています。では、ここからは「学長に聞く」ということで、私に何か聞いてみたいことはありますか?何でもどうぞ。
 
品川さん はい。いろいろ伺いたいことがあるのですが、まずは明星大学の好きなところはどんなところですか?
 
落合学長 先ほどもお話しましたが、学生たちが互いに優しいところです。言葉にすると軽く聞こえるけれど、困っている学生がいるとみんながサッと行動してくれる。それがすごく素敵でいいところだなと思っています。それから、この対談シリーズで何度も言っていますが、ワンキャンパスにいろいろな学部があって、交わり広がるクロッシングの可能性が大きいところがいいですね。9学部12学科にこの春からデータサイエンス学環が加わります。考え方の少しずつ異なる人が一緒にいるというところに、大きな可能性と魅力を感じています。勤労奨学生にもいろいろな学部学科の人がいて、楽しいでしょう?
 
品川さん はい、とても!私もそういうところが大好きです。私は勤労奨学生制度を誇りに思っているのですが、学長は勤労奨学生に対してどのような期待をされていますか?
 
落合学長 勤労奨学生のみなさんには、いろいろな場面で活躍してもらっていて本当に感謝しています。これからも思いやりの文化を引き継ぎつつ、リーダーシップを発揮してもらいたいと思っています。いま図書館の2階を改装中で、4月に再オープンします。そこに現れる新しいクロッシング型の交流空間「MEISEI HUB(多彩な学びのスペース)」の運営でも、勤労奨学生に活躍してほしいと思っています。MEISEI HUBには大きな緑を取り入れて、ステージや展示スペースを設けます。その空間を、学部学科、学環を超えた学生同士を中心に、ときには卒業生や地域の皆さんなども含めた交流の場にしたいと思っています。就職の相談窓口や、いろいろな言語を学べるランゲージラウンジや留学相談デスクも、そこに移設するんですよ。
 
品川さん わぁ!すごい計画が進んでいるんですね!
 
落合学長 例えば建築学部の人たちがつくった模型を展示して、それを見た心理学の学生が、「うちの建築学部には面白い人がいてさ…」と学外の人に話してくれたりすると素敵ですよね。情報学部に頼んで、本学が所有するシェイクスピアの貴重書をVRで展示してめくりながら読めるようにしたり。品川さんが学んできた教育をどう展示するかを考えるのも面白いでしょう。実はこれらの企画・運営を勤労奨学生に任せようと思っているんです。4月は新入生向けにこんなことやろうとか、起業している卒業生を呼んで話を聞こうとか、そういうことを自由に企画できる空間にして、学生たちのアイデアでさまざまなクロッシングが展開していく場を作りたいと思っているんです。

改装が終わったばかりの28号館図書館内「MEISEI HUB(多彩な学びの空間)」。写真奥にはステージ、右手側には展示スペースが。
大きな緑が目を惹く空間。奥にはランゲージラウンジ。

 品川さん 一年中、新しいことが生まれる場になりそうですね。卒業生もその交流に加わることができるのもいいですね。
 
落合学長 もちろんです!品川さんも、勤労奨学生の後輩たちの活躍を見に帰ってきてください。
 
品川さん ただいま!って、帰ってきますね(笑)。最後にひとついいですか?卒業する4年生と、これから明星大学をめざす高校生に一言お願いします。
 
落合学長 卒業式や入学式の学長あいさつみたいですね(笑)。品川さんのお話からもわかるように、卒業する皆さんは、明星大学で学び活動するなかで、大きな自信をつけてくれたと思います。経験に根差した自信ほど貴重なものはありません。それを忘れることなく、前向きな気持ちで生きていってもらいたいと願っています。
 
個人の「個」と孤独の「孤」という、同じ音でも意味の異なる文字がありますよね。皆さんには個人としての「個」を、いっそう確立していってもらいたい。時には孤独に陥ることもあるでしょうけれど、「孤」の殻に引きこもるのではなく、社会のクロッシングの場で自分という「個」をぶつけて自分を試し、他者と協働する力をいろいろ磨いていってほしいと思います。英語に「協力する」(collaborate)や「共存する」(coexist)のように、〈一緒に〉を意味する接頭辞 co- で始まる言葉がありますよね。こうして並べてみると、「個」「孤」「co-」は、見えない糸で結ばれていて、人生のさまざまな局面を表しているように感じるんです。卒業生の皆さんには、そうした「こここ」の世界を、生きがいを持って切り開いていってもらいたいと思います。一度きりの人生なのですから。
 
高校生のみなさんに伝えたいこと。それは、大学生活は自分次第でいかようにもなるということです。今は「えー!そんなこと言われても、どうしていいかわからない」と思うかもしれません。でも、心配する必要はありません。品川さんのように、4年間で自分を変えた頼もしい先輩がいるではありませんか。明星大学には、人生に良い影響を与えてくれる在学生や教職員が大勢います。「個」を確立する中で迷ったり、困ったりした時は、どんどん頼りにしてください。「孤」に陥りそうになったら「co-」で助け合うなかで、自分という「個」の良さを見出し、それを磨いていってください。
 
品川さん 学長にこんなお話を直接聞ける機会はないので、本当にありがたいです。
 
落合学長 では、私からもお願いをひとつ。これから明星大学をさらに盛り上げてくれる勤労奨学生の後輩たち、そして近い将来、明星大生になる高校生にメッセージをいただけますか?
 
品川さん いざ自分が聞かれる番になると緊張しますね(笑)。明星大学は、人と人のつながりがとても強い大学です。勤労奨学生の皆さんには明星大学をリードする顔として、新しくやってくる学生たちを支える存在になってほしいと思います。いま高校生のみなさんも、きっとその輪の中に入れると思います。未来ある高校生のみなさん!何も心配することなくワクワクした気持ちを持ってきてください。先輩たちが全力でサポートしますから!
 
落合学長 元気いっぱいのメッセージありがとうございます。今日は学生さんの観点から明星大学について幅広いお話が聞けました。本当に楽しかったです。
 
品川さん こちらこそ、ありがとうございました。


以下は、品川さんよりご提供いただいた写真の数々です。4年間、めいっぱい大学生活を満喫した様子が伝わってきます!

4年間支えてくれた、大切な友人と

「明星大学音楽ボランティアサークル Freedom Music」のみんなと

勤労生の仲間や学生サポートセンターの皆さんと!


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