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学長が聞く、学長に聞く―第10回―学生の、学生による、学生のための明星大学(前編)

廣瀬 杏実(教育学部 教育学科3年)×落合 一泰(学長)

WEBオープンキャンパスの一環として、今年度(2021年度)の5月と7月に行われた在学生オンラインイベント。イベントの構成から資料の作成、当日の出演・進行まで、すべて在学生の手作りでした。その統括役を務めたのが、アドミッションセンター勤労奨学生の廣瀬杏実あみさん。明星大学を高校生に紹介する中で感じた嬉しさや難しさ。先輩・後輩や同級生とのつながりの中で育まれる明星大学らしい強い絆。在学生だから語れるキャンパス生活のリアルな話を、廣瀬さんに伺いました。

みんなのために、学生だからできることがある。

落合学長 廣瀬さんはいま3年生で、アドミッションセンターの勤労奨学生として活躍されています。どのような役割を担っているのですか?

【明星大学勤労奨学金(給付型)】
事務補助など、学内での実務を伴う給付型の奨学金制度です。本学の教育理念である「体験教育」や「実践躬行」を具現化した、明星大学独自の学生への経済支援制度です。

廣瀬さん 1年生の後期から、入試業務と広報業務に携わっています。入試業務では会場案内などを担当し、広報業務では高校生に明星大学の良さを伝えるお手伝いをしています。最近、WEBオープンキャンパス内のコンテンツで「在学生の声」というページをつくりました。サークルに紹介記事の依頼を出したり、文章の編集をしたりしています。先日は高校生向けのオンラインイベントを、企画から出演まで自分たち学生が主体になって行いました。

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落合学長 それはすごいですね。みなさんは数年前まで高校生でしたから、受験生のニーズが良くわかります。また在学生ですから、本学のどこにどんなものがあるのかも熟知しています。広報担当には打ってつけですね。その高校生向けのオンラインイベントを、どのような方針で構成したのですか?

廣瀬さん まず私たち在学生に求められているのは、少し年上の学生としての目線だと考えました。「高校生だったらどう思うか」を念頭に、どんな企画がいいのか、コーナーの順番やテロップの内容など、どういう見せ方が適切なのかを検討しました。

落合学長 なるほど、「顧客」を中心に考えたというわけですね。私も録画を見ましたが、回を重ねるごとに良くなっていったと思いました。やってみたというだけで終えず、高校生により深く伝えるにはこれでよかったのだろうかと、きちんと検証もしていると感じました。今回は、コロナ禍のなかでの初の試みということで大変だったでしょう?

廣瀬さん はい、それはもう(笑)。コロナ禍前の対面イベントだったのであれば、先輩方の熱意やノウハウを受け継いだりできたと思います。スタッフ同士で集まって一体感を生み出すこともできたでしょう。でも、今回は初のオンライン開催だったので、「つながること」の難しさを感じさせられました。高校生にはできるだけ在学生同士の仲の良さを伝えたい。そのためには事前に私たちスタッフ同士が打ち解ける時間を持たなければいけません。
でも、コロナ禍のもとでは、そうした時間が持ちにくかったんです。それが5月に実施した第一弾の反省点でした。仲良くなるには対面でないと、という先入観もありました。そこで7月の第二弾では、事前にスタッフ同士オンラインでコミュニケーションをとり、お互いをよく知った上でオンラインイベントに臨みました。それがうまくいったので、次はどうしたらみんなのモチベーションを保ち、大学のことをさらに前向きに伝えられるか、在学生スタッフの統括担当として思いを巡らせているところです。

落合学長 さすがは統括担当ですね!イベントに参加してくれた高校生の反応はどうでしたか?

廣瀬さん 一度に大勢が参加するイベントでしたので、その場での反応を感じにくいところがありました。ところが、後日行われた一対一の個別相談に参加した時に「あ、このあいだ出ていた方ですよね?」と私のことを覚えてくれていた高校生がいたんです。とても嬉しかったです。

落合学長 廣瀬さん、頑張った甲斐がありましたね。ところで廣瀬さんご自身は高校生の時に本学のオープンキャンパスには参加なさいましたか?

廣瀬さん はい、参加しました。

落合学長 そのとき、明星大学にどんな印象を持ちましたか?

廣瀬さん まず、キャンパスが広くて校舎もきれいだなあとびっくりしました。そして、明星大学の名前の入ったTシャツを着て仕事をしている勤労奨学生の方々がみんなキラキラしていて、「わぁ、大学生だ!」と心がときめきました。私もあんな風になりたいと思ったんです。

落合学長 それは素敵な体験でしたね。個別相談で廣瀬さんのことを思い出してくれた高校生も、廣瀬さんのことがキラキラして見えたんだと思いますよ。

廣瀬さん 自分の喜びが次の人につながったのなら、とても嬉しいです。

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▲在学生オンラインイベントのひとこま

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▲オンライン個別相談のひとこま。高校生1名に対し在学生2名が対応にあたります。

▲9月に公開された360°VRキャンパスツアー。廣瀬さんをはじめ在学生がキャンパスを案内しています。スマートフォンやタブレットを動かしながら、360°ぐるっとキャンパスを体感できます。

学年を超えたつながりが、明星大学の強み。

落合学長 高校生の話が出たところで、今度は廣瀬さんご自身のことを聞かせてください。2019年4月の入学時から3年生の今に至るまでに、大学生活で自分にどんな変化があったと感じていますか?

廣瀬さん 山梨県の高校から一人で東京の大学に来て、初めは右も左もわからない状態でした。でも、1年生の時は何でもやってみようという気持ちで取り組んでいました。幸いなことに、明星大学には入学してすぐに先輩や同級生とつながりを持てる環境があります。そのおかげで、スムーズに大学生活に馴染むことができました。入学する前は、時間割を組むのも勉強するのも、全部一人でやるものだと思っていました。ですから、相談できる先輩や同級生の存在は心強かったです。

落合学長 上級生とのつながりの良さは明星大学の特徴ですよね。2年生になってからはどうでしたか?

廣瀬さん 去年、コロナ禍が始まって自分を見つめる時間が増えました。1年生の時にいろいろなことに挑戦してきて、その上で「私は何になりたいのだろうか?」とじっくり考えたんです。そうした時間を持てたことは結果的に良かったと思っています。

落合学長 ずっと走り続けてきた中で、少しスピードを落とし、歩きながら考える時間に切り替えたんですね。それはとても大事なことですね。今年4月に3年生に進級してからはどうですか?

廣瀬さん 対面とリモートの授業が半々になり、後輩と接する機会も増えました。これまで接点が少なかった2年生と今年の1年生を合わせて、一気に後輩が増えた感覚です。3年生になり、私自身も後輩から先輩へと立場や意識が変わったと感じています。

落合学長 刺激をもらう側から、与える側になったと。

廣瀬さん はい。私たちが先輩にしてもらったことをうまく消化できず、もどかしく思うこともあります。それでも、試行錯誤しながら後輩と一緒に考えるようにしています。

落合学長 廣瀬さんには対応力がありますね。受け手の立場から発信する立場に変わった時、自分の中でなにが変化していると感じましたか?

廣瀬さん 最初は「先輩みたいに、私もやらなきゃ」という力みがありました。でも、次第に「私らしくやりたい」というように肩の力が抜けました。そして、自分のためにというより、皆のために「楽しい場を自分でつくっていきたい」というように変わっていったと、いま感じています。

落合学長 それは素敵なお話ですね。まるで、幼虫がさなぎになり、さなぎが蝶に羽化していくようなプロセスです。そうやって廣瀬さんは、高校生の時にオープンキャンパスで出会った先輩のような「大学生」に成長してきたのですね。学長として胸が熱くなるお話です。

後編へ続きます。

勤労勤務中の写真

勤労勤務中

▲アドミッションセンターで勤労業務中の廣瀬さん。イベントの企画ミーティングや高校生への対応などを行っています。

オープンキャンパスでの勤労生の集合写真

▲オープンキャンパスでの勤労生の集合写真。明星大学の魅力をアピールできるように、熱意を持って取り組んでいます。

後編へ続きます。