学長が聞く、学長に聞く―第3回―交わり、広がる。ボランティア活動(後編)
畑野 理美(明星大学ボランティアセンター職員)×
大橋 雅宜(防犯ボランティア隊MCAT前代表 / 理工学部 総合理工学科 生命科学・化学系 3年生)×
落合 一泰(学長)
前編では、明星大学ボランティアセンターの概要と、学生たちがどんな活動をしているのかを中心に伺いました。後編では、コロナ禍における活動と今後の展望について、語っていただきました。ボランティアと聞いて「なんだか難しそう」、「続けるのが大変そう」と、敷居の高さを感じている方も、読んだ後には「ちょっとはじめてみようかな」と思えるかもしれません。
どんな状況でも、交わり、広がることはできる
落合学長 ボランティアセンターでは、卒業生との関わりはありますか?
畑野さん はい。卒業後に施設や団体に就職した方や、市役所や社会福祉協議会の方もいるので、ボランティアの募集に来てくださることもあります。
大橋さん 活動先に伺ったら、MCATの先輩がいた!って嬉しくなったり。
落合学長 卒業したら地域とのつながりが薄くなるのではなく、関わりが続いているのですね。ところで、2020年はコロナ禍のもとでの活動を余儀なくされました。どんなことに取り組まれましたか?
大橋さん 毎年参加している市民活動フェアに、今回は動画で出席しました。
畑野さん 各団体とのミーティングをオンラインで行いました。今後どんなことができるかを代表のみなさんと話し合い、団体同士のつながりの輪を一般の学生に対してオンライン上でも広げていくことも検討しています。
落合学長 2020年度に入学した学生や今年2021年度に入学する方は、学内のつながりを持ちにくい状況ですので、友人や仲間を作るきっかけになるといいですね。
大橋さん ボランティアセンターには外からもよく見える会議室があります。コロナ禍以前は、そこでよくミーティングを開いていました。センターは学生が気軽に入りやすい環境ですので、オンライン上でもそうなればいいなと思います。
落合学長 大橋さんは、MCATが今後どんな方向に進めばいいと思いますか?
大橋さん 今はコロナで活動の大半を自粛している状況ですが、先ほどの話のようにオンラインでできることもあると思います。動画制作など自分たちから発信できることが、まだまだあると感じています。
落合学長 でも、本当は現場に行きたいですよね?
大橋さん もちろんです。面と向かって話したほうが気持ちも伝わりやすいですし、MCATの活動自体、外で行うことが多いので、実践的な活動のほうがメンバーのためにもなると思います。
落合学長 きっと地域の皆さんも、早く来てくれないかなと待ってますよ。
大橋さん そう思っていただけると、嬉しいですね。
これからも、大切なのは「一緒に」考えること
落合学長 畑野さんは、これからのボランティアセンター像について、どんなイメージをお持ちですか?
畑野さん 大橋さんたちもそうですが、対面での活動が難しい中で、多くの学生がオンラインを利用するなど工夫しながら活動のあり方を模索してくれています。音楽サークルがYouTubeで演奏を配信しはじめたり、デザイン学科に所属する学生がイベントに参加できないけれどポスターを制作して送ったりと、すでに動き出している人もたくさんいます。
私たち職員も、活動紹介の代わりにサークル紹介や交流会をオンラインで開くことを勧めたり、明星LMS(授業支援システム)から手続きに必要な書類を提出できるようにしたり、時代にあった形で学生ボランティアを一緒に考えています。
落合学長 「一緒に」考えるというのは、とても大事なことですよね。ボランティアには、活動の現場や学生たちが集まる居場所も必要ですが、コロナ禍でそれが難しくなってきた時に、別々の場所にいながら一緒に考えるということがさらに重要になってきます。ボランティア活動に限らず、コロナ禍の時代をどう生きるかを考える上でも、大事なことだと感じました。
畑野さん 一人ではできないけれど、みんなで一緒に考えればできることもあるはず。明星大学にはいろいろな個性を持った人がいるので、同じ団体でもさまざまなアイデアが出てきて楽しいと思います。
落合学長 そこが9学部12学科がワンキャンパスに集まる総合大学である明星大学のいいところですよね。本学では、世界に貢献する人を育成することを建学の精神としていますが、大学は、困難をどうやって切り抜けていくかという力を身につける場でもあると思っています。学生は一方的に教わるのではなく、自分でも考える。今は大変な時期だけど、学生にとっても私たち教職員にとっても、貴重な経験になっていると思います。渦中にあるうちは、なかなか気づけないのですが。
大橋さん 確かにそうですね。
落合学長 でも、長い目でみれば困難に負けずに頑張ったというのは、大きな財産になると思います。その学生を誰も表彰してはくれませんが。
大橋さん そうですね。未来の自分が、今の自分を表彰してくれればと思います。
落合学長 それはいいですね。最後にすばらしい締めの言葉をいただきました。お二人とも、貴重なお話をありがとうございました。