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学生に聞く|心理学部心理学科 池宮美紅さん

2022年3月に心理学部心理学科を卒業する池宮さんに、「大学4年間の学びとこれから」について伺いました。
※インタビューは2022年1月に行いました

大学で学んだことを生かし、誰かの居場所を作りたい

高校3年生の時、ブラック企業問題などで自殺者が増えているというニュースを見て、「どうしてそこまで思い詰めてしまうのか」と胸を痛めていました。そういう人達を助けてあげられるのはカウンセラーなのかもしれない、という漠然とした思いが心理学を目指すきっかけになりました。

明星大学では当時、心理学部が最も新しい学部という期待感があり、動物実験ができるとも紹介されていて、それと心理学はどう関係するのだろうという興味もあって受験しました。9月のAO入試で合格することができたので、創設2年目の心理学部で頑張ってみようと決めたのです。

1、2年生で心理学の基礎から学び、カウンセリングのような臨床系から社会心理学や神経心理学などの基礎系まで、様々な分野をひと通り学習し、2、3年生で自分の好きな分野を選んで深めていくわけですが、2年生の時に境敦史先生の知覚心理学の授業を受け、その内容があまりにも面白かったので衝撃を受けました。

知覚心理学は、私達が日常目にしているもの、触っているものについて、見方を変えただけで感じ方まで変わってしまうことを研究する学問です。例えば、3つ穴のコンセントが顔に見えたり、その顔に見えるための条件は、実は3点ではなく2点だけでよかったり、……心がときめきました。私もこんな研究ができたらと思って、3年生の時、第一希望の境ゼミに入りました。

色の性質に着目して卒業研究を

私の卒業研究は、「色」がキーワードになっています。

もともと色には関心があり、例えばシャンプーのボトル、女性用は色とりどりなのに、男性用は青とか紺が多いのはなぜだろう?香りを重視する場合はそれに合わせて多彩になり、洗浄力や爽快感重視だと青などの爽やか系になる?などと考えることもあり、色の持っている性質に関して研究をしてみたくなったのです。

境先生と何度も話し合って卒業研究のテーマを決め、色と言葉の結び付きについてまとめることにしました。

ひらがなの「けっこん」は、「結婚」と「血痕」という漢字に変換できます。このひらがなをピンクにしたら「結婚」が浮かびやすいし、赤にすると「血痕」を想起しやすいのではないか、というような仮説を立てて研究を進めました。最終的に、「結婚」などの抽象的な言葉より「血痕」(血=赤)など物自体に色がある言葉の場合に、色との結び付きが強くなるという考察もできました。

この研究のために、3年生の夏からパワーポイントで設問を作り、ゼミ生を含め対面では25人に回答してもらいました。また、コロナが大変だった時期にも、事前調査と前実験で心理学部生80人ほどに協力してもらいました。境先生や友達のアドバイスも受けながら1年以上かけてまとめて、卒論として提出しました。協力していただいた皆さまには心から感謝しています。

就職活動のなかで運命的な出合いを

大学で色々と学ぶうちに、カウンセリングにかかる前の段階で人を救える方が良いのではと思えてきて、カウンセラーになるのではなく就職を考えるようになりました。

就職活動に取り組むなかで、あるタクシー会社と運命的とも言える出合いをします。たまたまインターンシップを勧められて、興味はなかったのにウェブで参加できるならと受けてみた会社です。

インターンシップの際に、「自分がタクシーでやりたいことを15分以内で考えてください」という出題があり、私は「誰でも仕事や学校に行きたくないとか、家に帰りたくないと思う日が必ずあるので、その手助けをする『家出タクシー』をやりたいです」と回答しました。この案を、同社のオーディション選考で発表してみないかと背中を押していただき、後日の選考につながりました。

一人になりたいけど寂しい、ただ誰かに共感してほしい、学校や会社の人とは帰りたくない、というような時に、タクシーに乗っていただく。その間の10分、15分、運転手さんが話を聞くことで、お客さまの気持ちが落ち着いたり、楽になったり、そういうことができるのではないか。「命の電話」番号カードのタクシー版を作って、学校や会社に配布しておいてはどうか。行先はお客さま次第ですが、気持ちのふさいでいる状態の人が一人ふらふらと出かけるより、運転手さんがいれば安心なのではないかetc.という提案をしたら、ものすごく共感を得られたのです。

インターンシップ後のフィードバックの担当者は「運転手をしていた頃、お客様と話が尽きず、サービスエリアに止めてまで話を続けた後、目的地にお届けした経験がある」と話され、面接官は「人と話す、人に聞いてもらうだけで助けられ、落ち着く人は実際にいる。わが社には優しい運転手さんも多いし、君はこの会社に合っていると思う」と言ってくださいました。

企業面接の場で自分が思っていることを正直に素直に話せたのは、このタクシー会社が初めてでした。私の本音を受け入れて理解して、「私達はこう思う」と誠実に返していただいた。他社の面接では一度もできなかった体験で、本当に楽しくて、うれしかったです。

4月から、私はこの会社で働きます。

友達が居場所を作ってくれたから、今の私がいる

大学生活で何が一番心に残っているかと言えば、友達と一緒に過ごすのが本当に楽しかったということ。それから、興味を持って勉強することがこんなにも自分の活力になると分かったことです。

大学で学ぶ知識は難しく、ほとんど初めて知ることばかりで、特に2年生の時は小論文を2週に1回提出しなければならないというスケジュールだったのでとても大変でしたが、それも友達がいたからこそ乗り越えられました。勉強は、一人で黙々とではなく、頑張っている仲間達と一緒だと「やろう!」という気力が湧いてくるのです。夜9時に閉まる図書館で8時50分くらいまでねばり、みんなそれぞれの論文を仕上げて、そのまま心理学研究室に急いで行って提出!良い思い出です。

私はどちらかというと引っ込み思案な性格で、以前は人のことを気にして、私が話すより相手がしゃべった方が楽しいのではないか、と考えがちでした。自分のことをちゃんと語れるようになれたのも、友達の存在が大きいです。  

みんなを「優しい」と一言で言うのは簡単ですが、人を受け入れる姿勢が素晴らしいのだと思っています。私といることが楽しい、私を信じてくれている、その思いがすごく伝わるから、私も楽しいし信じられる。4年間、日々友達と過ごしたことで、私の居場所はどんどん確立され、今の私があるのです。大学で友達から得たもの、先生からいただいた知識は多すぎるほどです。これを生かして今後は誰かのための居場所を作れたらと思っています。


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