学長が聞く、学長に聞く―第5回―Why? eポートフォリオ(後編)
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学長が聞く、学長に聞く―第5回―Why? eポートフォリオ(後編)

菊地 滋夫 教授(学長補佐)× 落合 一泰(学長)

前編では、eポートフォリオとは何か?からはじまり、大学での学びに果たす役目を中心に菊地先生に伺いました。後編ではさらに深く、明星大学がなぜ仕組みの整備に取り組んでいるのか?その真相に迫ります。そして最後に、菊地先生から落合学長にスケールの大きな質問をぶつけてもらいました。はたしてどんな回答が得られたのか?ぜひお読みください!

なぜ、明星大学にeポートフォリオなの?

落合学長 さきほど、他大学や高校でもeポートフォリオを導入しているとうかがいました。でも、みんなうまくいっているわけではない。それでも明星大学がeポートフォリオを整備しようとするのは、なぜなのですか?

菊地学長補佐 eポートフォリオの普及は、文部科学省の号令のもと全国的にはじまりましたが、大半で定着しきれませんでした。準備に手間がかかるからです。しかし、一方でうまく活用できているところもありました。その差はなにかと私なりに考えた時に、「体験的な学びが充実している大学にこそ、適している」ということに気がつきました。

落合学長 体験的な学びといえば、本学の大きな特徴ですよね。

菊地学長補佐 そうです。学びの結果もさることながら、学びのプロセスに光を当てるeポートフォリオと明星大学は、まさに相性抜群です。今回のテーマでもある「Why?eポートフォリオ」と聞かれたら、9学部12学科の多様な個性が1つのキャンパスに集まっていて、体験教育が充実している明星大学にぴったりだからと答えます。学生のみなさんには、さまざまな体験を通して、うまくいったことも、失敗したことも、どんどん記録に残して活用してほしいと思います。

落合学長 学生一人ひとりの個性豊かな学びの軌跡が集まることで、ますます体験の質も高まりそうですね。そんなeポートフォリオをさらに充実していくために、今後の展望はありますか?

菊地学長補佐 新型コロナの影響を受けて、結果的にオンライン授業と併せて半ば緊急措置的に明星LMS上で運用していくことになりました。でも、これをいい機会と捉えて、教職員も学生を支援するための活用の仕方を、もっと勉強しなければと思っています。そして、明星大学全体で進めている学部・学科を越えた学びの記録や、他大学・地域など学外との協働にもつなげたいです。

落合学長 学外連携も、デジタルなら場所や時間を問わずにできるメリットがありますね。

菊地学長補佐 はい。そして、これは落合学長の構想がベースにありますが、卒業後も学修履歴を更新できるようにすることも考えています。人生100年時代といわれる中で、これからはひとつの組織だけにとらわれない働き方が必要になります。そんな時にeポートフォリオは、主体的に学び続けて、自分の守備範囲の外側へ一歩踏み出す手がかりになるのではないかと思います。

落合学長 これまでの学びの成果を振り返り、今後につなげていく。eポートフォリオは、生涯にわたって学び続けるための羅針盤のような役割を果たしそうですね。

菊地学長補佐 それから学生にとどまらず、教員の教育活動の記録を残したり、職員のキャリアをサポートしたりするツールとしても活用できるようにしたいと考えています。

落合学長 いろいろな可能性を秘めていますね。今後の展開が楽しみです。

大学の学びとeポートフォリオの今後はどうなる?

菊地学長補佐 今回の対談のお話をいただき、落合学長に2つ質問を用意してきました。まず1つ目は、「コロナ禍を経て、大学ではどんな学びが必要になるか?」ということです。

落合学長 とても大きなご質問ですね。私はコロナ禍をきっかけに、「グローバル化とは何なのか」をあらためて考えました。今回のコロナウイルス感染症の拡大は、この時代を生きている私たちにとり、はじめての経験です。新型コロナが世界的に流行して、一人ひとりが3密に気をつけるようになりました。世界規模の出来事を、我が事として考えるようになったということです。つまり私たちは、ローカルはグローバルの一部だということを再認識させられたのではないでしょうか。

1980年代あたりから、日本でも国際という言葉がよく使われるようになって、大学でも国際と名のつく学部学科がたくさんできました。当時は、協定をいくつ結んだとか、何人の留学生の受け入れや送り出しをしているとか、英語のスコアがどれだけ上がったかとか、そんなことばかり気にしていました。

菊地学長補佐 国際と名がつけば、それだけで国際化したような雰囲気もありましたね。

落合学長 はい。私はそのことにずっと違和感をもってきました。そしてその理由を、コロナ禍が炙り出してくれました。学生や教職員、もっといえば社会も含めて、世界中みんなが同じ船に乗っている。この船を沈めてはいけない。ならば、まず、それはどのような船なのかを知らなければいけません。それがグローバル世界を知るということなのではないでしょうか。このことを、いかに我が事として引き受けていくかが大事なのだとわかりました。英語力や留学だけがグローバル化なのではなく、ローカルはグローバルの一部なのだという知識と感覚と覚悟を持つことが、グローバル化への第一歩なのではないでしょうか。

近ごろニュース等で、SDGs(サステナブル・デベロップメント・ゴールズ)、DX(デジタル・トランスフォーメーション)や気候変動、炭素中立(カーボンニュートラル)のことを、よく見聞きしますよね。こうした地球全体の課題は、もはや遠い国での話ではありません。これからは、そういった観点での学びがグローバル化教育の基盤として必要になると思っています。

菊地学長補佐 なるほど。では2つ目の質問です。この対談を読んでいる、これから入学する若い人たちに、どんな学びをeポートフォリオに残してほしいですか?

落合学長 大学教育は、教育者本位から学修者本位に移り変わっていきます。学生自らが主体的に内容を選択しながら、自分の学修のプロセスや成果に責任を持つ。その学びのプロセスを記録できるeポートフォリオは、学修者本位の学びを実行するうえで、とても役に立つと思います。

大学の学びは、ある意味で「思い」を「考え」に変える訓練の連続です。経験や勘のような漠然とした思いを、人に伝えるために言葉や文章、図式などにして考えを示す。レポートにまとめたり、みんなの前で発表したりするのは、「思い」を「考え」に高めていくトレーニングです。最初は拙いものでも、みんな4年間で大きく成長します。その軌跡をしっかりとeポートフォリオ上に残していってほしいですね。学生たちがeポートフォリオを自由に使いこなして、我々が思いつかないような新しい活用方法を生み出していく。明星大学がそんな学修の場になってくれるとうれしいですね。

菊地学長補佐 そうですね。そのためにも、使い心地のいい場を準備できるように頑張りたいと思います。

落合学長 ぜひ、よろしくお願いします!

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