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僕の起業の学び方(前編)

突然ですが、皆さんは「働く」と聞くと、どのような仕事をイメージしますか。

色々な職業を思い浮かべる一方で、その多くは会社や団体などで「組織人」として働く姿だったのではないでしょうか。ですが、働くとは何も企業に勤めるだけではありません。

明星大学には「起業家」を目指し、自身で学びの道を切り拓いた一人の学生がいます。

起業を目指す169人もの若者がビジネスプランを競い合う大会で、優秀賞を勝ち取った若き起業家の卵です。
そんな彼も起業を目指すようになったのは、大学3年生からといいます。

彼はどうして起業について学ぼうと思ったのか、どのように学んできたのか。話を伺うと、そこにはある一つの「制度」を使った体験談がありました。

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▼Interviewee Profile
【名前】中山 功大(Kodai Nakayama)
【出身地】東京都
【学部学科】経営学部経営学科(4年生)
【出身校】大成高等学校
【趣味】旅行・各地の絶景を観ること

ゼミで見つけた 自分が夢中になれること

僕が本格的に起業を学び始めたのは、大学3年生の頃。所属ゼミで商品開発の楽しさに触れたことがきっかけです。

高校までの僕は、部活一筋のサッカー少年。経営学部に入学した理由もビジネスについて広く学べれば良いかな程度でした。一般的な大学生と何ら変わらず、友達と遊んだり、アルバイトに励む日々。国内旅行が趣味で日本各地の絶景を巡るなど、気づいたら大学1年目を終えていました。

ターニングポイントは経営学部のゼミ選択、当時就任一年目だった伊藤智久先生と出会えたことです。伊藤ゼミのコンセプト「商品開発を体験してイノベーションを学ぶ」に興味を抱き、受講を決めました。

伊藤ゼミでは3年生の前期から、企業と一緒に商品開発を体験する「産学連携プロジェクト」に取り組みます。チーム毎にやりたい事を自分たちで考え、顧客を探し、顧客に提供する価値を生み出していきますが、これがなかなか大変。

例えば複数人で食事に行った時、各々食べたいものが違って、お店が決まらないことってありますよね。中華がよかったり、イタリアンがよかったり、和食を食べたい人がいたり…。みんなで美味しいものを食べたい気持ちは一緒だけど、美味しいと思うものはそれぞれ違う。

商品開発もこれと同じです。「顧客に喜んでもらいたい」思いは同じでも、一人一人大切だと考える価値が違います。だからこそ、商品開発には時間がかかります。何度も何度も議論を重ねて、自分と相手の考えをすり合わせ、ようやく一つの商品が完成。生み出すまでの苦労もありますが、その過程にはメンバー全員で検討していく楽しさがあります。

僕にとって商品開発は、日が暮れるのも忘れて練習したサッカーと同じように「時間を忘れて夢中になれること」でした。

▼明星大学経営学部の「産学公連携プログラム」
明星大学経営学部の産学公連携(企業や自治体との協働)は3年生からのゼミナールで数多く行われており、学生が実際にビジネスを体験します

高まる学習意欲 学びの場は海外へ
起業を目指す仲間たちとの出会い

「商品開発についてもっと学びたい」
伊藤先生に相談したところ、提案されたのは「海外ビジネスインターンシップ」。夏季休学期間の2週間を使って、ベトナム・ホイアンで商品開発を学んできました。

このインターンには、多くの日本人学生が参加していましたが、彼らとの出会いは「衝撃」の一言。全員英語はペラペラ、在学中に起業が決まっている人や、中には世界一周を経験した人まで。

誰もが「海外なんて普通でしょ」という感覚でしたが、当時の僕は海外旅行すらほとんど経験がありませんでした。

何より驚いたのは、全員が「学ぶ理由」を持っていたこと。彼らは共通して将来起業する夢を抱き、夢の実現のためにインターンへ参加していました。けれども、起業を目指したきっかけもやりたいことも人それぞれ。

当たり前の話ですが、起業をするのに特別な資格なんて必要ありません。誰でもできることですし、どんなことでもいいんです。大切なのは自分の意志で夢を描き、動くこと。

この時、彼らから大きな刺激を受けた僕も「商品開発を学びたい」から「起業したい」と考え始めたことで、最初の一歩を踏み出しました。

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写真:海外インターンでは、アパレルショップの新商品を自ら考案~販売までを経験

起業を目指し団体設立
「ゼロ」から学んだビジネスの難しさと未熟さ

帰国後、将来起業するためにも、まずは色々なビジネスに挑戦しようと友人を誘い、初めて活動団体を立ち上げました。しかし自分たちの力だけで学ぼうとすると、広い社会で何から着手すべきか分からず、迷子になります。

そこでまずは身近なことから始めようと、明星大学のある東京都日野市を活動の拠点に、地域課題を解決するソーシャルビジネスに着目しました。

初めて企画したビジネスのターゲットは高齢者。買い物に不自由を感じるお婆ちゃんたちへの「買い物同行サービス」です。行政からの協力もあり、地域での説明会や活動チラシのポスティングなど営業活動を試みるも、依頼案件は「0」件。ビジネスを成功させる難しさを実感しました。

その後もソーシャルビジネスを継続する傍ら、起業支援の専門家からビジネスプランをブラッシュアップしてもらう機会を得るなど、がむしゃらに奮闘していました。

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写真:日野市施設で運営業務を担う中山さん(左)

季節は冬へと変わり12月。少しずつ友人たちから就活の話題を耳にし始めました。思うような成果を得られていなかった当時の僕は、焦燥感に駆られながら「このままでいいのか」と自問自答を繰り返す日々。

悩んだ末、たどり着いた結論は活動団体からの脱退。
将来起業をするなら、ソーシャルビジネスではなく、自分が好きなことをビジネスにしようと考えたためです。

方向転換した先は趣味の「旅行」。車中泊をしながら各地の絶景を観るのが好きだったこともあり、日本の観光情報を発信するビジネスへと舵を取りました。

とはいえ、描いたビジネスを行うにも、語学力もビジネススキルもない現状。自分の未熟さを客観視できるようになった今、大学を休学し、長期留学することを決めました。

後編へ続きます