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学長が聞く、学長に聞く―第3回―交わり、広がる。ボランティア活動(前編)

畑野 理美(明星大学ボランティアセンター職員)×
大橋 雅宜(防犯ボランティア隊MCAT前代表 / 理工学部 総合理工学科 生命科学・化学系 3年生)×
落合 一泰(学長)

他大学に先駆けて2008年度にボランティアセンターを立ち上げ、今や年間1,000人(団体所属約600人/個人活動約400人、2019年度時点)の規模でボランティア活動が行われている明星大学。なぜそんなに根付いているのか?まずは、ボランティア活動に取り組んでこられたお二人と、これまでの活動について振り返ります。

防犯ボランティア隊MCAT(エムキャット)
2010年創設、大学近隣地域を中心に見回りパトロールや地域の警察と協力して防犯・交通安全活動などを行っている防犯ボランティア隊MCAT。コロナ禍の現在は「まちづくり市民フェア」(オンライン実施)に向けて動画作成に取り組んでいます。

ボランティア活動のカタチは、ひとつじゃない

落合学長 現在、明星大学では教育改革を推進しており、専門教育の枠を越えて、学内でも学外でも学びを広げていくことが大切だと思っています。その意味では、ボランティア活動は本学の掲げる「交わり、広がる。」学びを体現するひとつの方法だと言えます。
今回は、センターに設立当初からいらっしゃる畑野さんと、「防犯ボランティア隊MCAT(以下、MCAT)」の前代表である大橋さんにお越しいただきました。まずは、どんなお仕事や活動をされているのかお聞かせください。

畑野さん はい。ご紹介いただいたとおり、私は2008年の設立時から、学生ボランティア活動の支援をしています。ボランティア情報の収集・提供だけでなく、みなさんの相談を受けたり、活動に役立つ講習会を開いたり、活動後の報告会をセッティングしたりと、一人でも多くの学生が安心してボランティア活動を始められるようサポートをしています。

大橋さん 私は、去年までMCATで代表を務めていました。主に大学近隣の見回りパトロールや清掃、地域の警察と協力する防犯・交通安全活動などを行っています。

落合学長 畑野さん、センターの設立当初はどんな感じでしたか?

畑野さん ボランティア活動自体は、開学して早い時期から福祉や教育の分野を中心に行われていて、長い歴史があります。

落合学長 1964年創立の「初等教育研究会どろんこの会」もそのひとつですよね?

畑野さん はい。「教育研究部」「へき地教育研究部」「おもいやりサークルSMILY」なども早くからありました。そうした活動を基盤に、2008年にボランティアセンターが生まれました。そして、初代センター長の渡戸一郎先生が参加を希望するサークルの方々と面談をして、どんな支援を必要としているか聞きながらボランティアの仲間を増やしていきました。最初は5団体でしたが、2021年1月時点では13団体が登録するまでになっています。

落合学長 どんな団体があるか、一部ご紹介いただけますか?

畑野さん 教育関係以外にも、福祉実践学科第1期生の方が2011年に立ち上げた「メルシー」があります。MCATのような防犯や、東日本大震災をきっかけに心理学部のゼミから生まれた災害復興の「虹色の薔薇の会」、前回の座談会でお話しされていた井上さんが所属する日野社会教育センターと協働で子どもの野外活動をお手伝いしている「SEASON」もそうです。
また「サンフラワー」というグループは庭を手入れした空き家をサロンにしており、サロンでのイベントを通じて地域の皆さんとのコミュニケーションが生まれています。

落合学長 実に幅広いですね。

畑野さん まだまだありますよ。「自転車競技部」が交通安全活動に参加したり、「ダブルダッチ同好会Shakin Key!!」が小学校で縄跳びやパフォーマンスを通して体を動かす楽しさを伝えたりと、競技の特性を活かしたボランティア活動もしています。また、団体に所属せず個人で活動している人や、いろいろな分野に興味があって団体と個人を掛け持ちしている人もいます。

落合学長 ボランティアとひとくちに言っても、いろいろなやり方があるわけですね。

畑野さん やったことがない人は、敷居が高く感じたり、社会貢献とか大きく捉えてしまうかもしれませんが、自分の興味があることをしたり、得意なことを活かせばいいので、できることがたくさんあります。本人にその意識がなくても、周りからみたらボランティアになっているということもあると思います。

大橋さん 私もボランティアをしているというよりは、学ばせてもらっているという感覚です。

1971年教育研究部

↑1971年の「教育研究部」

ダブルダッチ

↑「ダブルダッチ同好会Shakin Key!!」小学生向けイベント(2018年)

もうひとつの成長の場としてのボランティア活動

落合学長 大橋さんは、なぜボランティア活動に興味を持ったのですか?

大橋さん 興味は高校時代からあったのですが、参加していませんでした。明星大学に入学して、大学がボランティア活動を積極的に支援していることを知り、やってみようという気持ちになりました。

落合学長 MCATを選んだ理由は?

大橋さん 実は父親が警察官で、その背中をずっと見て来て私もなりたいと思っていました。MCATが警察と協力しながら活動していることを知り、警察官の方と関われるチャンスだと思って決めました。

落合学長 そうでしたか。先ほど防犯活動を行なっていると仰っていましたが、どんなことをするのですか?

大橋さん 主に特殊詐欺被害防止の啓発です。警察と協働でビラ配りなどをしています。

落合学長 たしか、活動に対して表彰を受けていましたよね?

大橋さん はい。2019年5月に警視庁主催の防犯功労表彰式で「管区局長・関防連会長連名賞」をいただきました。

落合学長 それはおめでとうございます。地域密着の活動が認められて、私もうれしいです。ところで、所属メンバーにはいろいろな学部・学科の学生がいると思うのですが、活動中に何か良かったことはありますか?

大橋さん ありました。市民活動フェアに参加して子どもたちに防犯の大切さを教えた時、教育学部のメンバーから子どもと接する際のアドバイスをもらったんです。それぞれ得意なものがある人が集まるメリットを実感しました。

落合学長 なるほど、まさにお互いの専門性が交わり、活動の幅が広がっていくわけですね。理工学部の大橋さんの専門性が活きる場面もきっとありますよね。勉強の話が出たところで質問ですが、勉強とボランティア活動との両立はどうしていますか?

大橋さん 大きなイベントがある時は忙しくなりますが、普段はみんなで役割分担をしながら計画的に活動しているので、勉強に影響することなく両立できています。

落合学長 なるほど。畑野さんは、いろいろな活動をご覧になって、学生たちの成長をどう感じていますか?

畑野さん 1年生の時はおとなしい人も、先輩と一緒に活動していく中でメキメキ成長していきます。幹部になると、後輩に指示を出したり、地域の方と連携したりする場面が出てきますが、みなさん上手にできています。個人的な印象では、最初から上手じゃない人のほうが、自分自身や相手のこともよく理解して、寄り添いながら、みんなを盛り上げているように感じます。

落合学長 大橋さんは、上級生になるにつれて変化はありましたか?

大橋さん はい。自ら進んで次の仕事を探して、まわりの状況を確認しながら、やるべきことを考えるようになりました。

落合学長 ご自身が下級生の時に見ていた先輩から学んだところはありましたか?

大橋さん 困った時にはすぐに助け舟を出していただいていたので、私もそうなりたいと思いました。先輩たちはとても頼れる理想の存在で、目標でもありました。

落合学長 畑野さん、活動後には報告会があるとおっしゃっていましたね。私も、レポートを読ませていただきました。印象深い言葉が多かったのですが、アルバイトとボランティアの違いについて書いている人がいました。アルバイトはその場だけのことだけど、ボランティアはずっと自分に残るというのです。喜んでもらえたことや感謝されたことが、一生の宝になると。それを読んで、大学で図書館にこもっていてもいいのですが、キャンパスの外に出て自らを鍛えていくことが、自分を発見したり、可能性に気づいたりしながら自分を活かしていくチャンスになるのだと思いました。

後編へ続きます

詐欺防止の駅前ビラ配りs

↑「MCAT」特殊詐欺防止の啓発活動

パトロールしながらゴミ拾い

↑「MCAT」パトロールしながらのゴミ拾い

程久保川の清掃活動

↑「MCAT」程久保川の清掃活動

後編へ続きます

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