僕の起業の学び方(後編)
将来起業をするために、4年生の後期から海外留学をされた中山さん。そこでは大きな成長と人生で一番の挫折を経験されたそうです。
留学先で何を経験し、どのように挫折を乗り越えてきたのか、引き続きお話を伺いました。
前編はこちらから
▼Interviewee Profile
【名前】中山 功大(Kodai Nakayama)
【出身地】東京都
【学部学科】経営学部経営学科(4年生)
【出身校】大成高等学校
【趣味】旅行・各地の絶景を観ること
長期休学と海外留学
経験したのは自分の成長と大きな絶望
4年生前期、アルバイトで留学資金を稼ぐ傍ら、都内の広告会社へインターン入社。観光情報を発信するビジネスを目指す自身にとって、Webサイトや動画編集、SNS運用などのスキルを習得できる貴重な機会でした。
準備を済ませ迎えた夏、最初の留学地フィリピンへ。
当初の計画は「フィリピン(半年)→カナダ(1年)→アメリカ(1年)」と2年半かけて3か国を渡る長期留学。フィリピンで英語を学び、カナダではワーキング・ホリデーを経験、アメリカではAI技術を扱う企業のインターン採用を勝ち取る一大プランでした。
とはいえ、当時の僕の英語力は「Yes / No」しか話せないレベル。フィリピンでの授業中に「トイレに行きたい」と話せず、授業が終わるまでひたすら我慢していたほど。留学先の学校が作成した僕の留学体験談では「英語落ちこぼれだった僕」とタイトルが付けられたくらいです。
それでも「学ぶ理由」を持っていたので、苦痛を感じずひたすら勉強に専念でき、半年後には日常生活で困らないレベルにまで成長。次のカナダでも語学学校へ通いながら飲食店で働くなど、留学生活は順調でした。
写真:フィリピン留学中に撮影した講師たちとの1枚
順風満帆だった状況から一転したのは、カナダでの生活が半年ほど経った頃。知人の紹介で、サンフランシスコのビジネスマンとインターン採用につながる面談機会を得ました。当時の勢いそのままに考案した観光ビジネスプランを説明するも、返ってきた反応は首を横に振る仕草。ネガティブな評価を突き付けられ、ガラガラと留学計画が崩れていく音が聞こえました。
その後もインターンの機会を得られず、カナダで英語だけを学ぶ日々。SNSを見ると、社会人になった同級生の姿がとても眩しく「彼らと違い、自分は何も実現できないんだ」と自己否定感を抱くようになりました。未来に希望を見出せないまま迎えたタイムアップ。1年半の留学期間を終え、失意のまま帰国の途に就きます。
失意の底から抜け出して 初めて掴んだ大きな成果
帰国後、休学から復学するも、何もやる気になれず時間だけが過ぎていき、自己否定感も強くなる一方。ひどい時には周囲の目が怖く電車に乗れない時期もありました。
そんな絶望の淵にいた僕を救ってくれたのは、ビジネスの楽しさを教えてくれた伊藤先生でした。先生からの勧めを受け、学生ビジネスプランコンテストへ応募してみることに。
数日後、主催側から届いた通知には「書類審査 通過」の文字。呆然とした直後、胸の底から嬉しさが込み上げてきたのを今でも覚えています。最終選考でも、ましてや2次選考でもないただの1次選考のための書類審査でしたが、当時の僕にとっては「自分の考えを認めてもらえた」と感じる出来事でした。。
通知をきっかけに少しずつ活力が戻ったことで、選考に向けて起業プランを練る前に、自分を見つめ直せるようにもなりました。思えばこれまで「アメリカの企業でインターンする」など漠然と掲げた目標だけが、起業を実現するには必要だと考えていた僕。アメリカ留学はあくまで選択肢の一つに過ぎず、今の自分が持っているスキルからどんな価値が生み出せるのかを考えていませんでした。
「これまでの活動で習得したウェブサイトや動画編集のスキル、何より留学して身につけた英語力が僕にはある。」自分で自分を理解するように、一つ一つの経験を紡いで生み出した起業プランは「インバウンド向け VR観光体験サービス」。コロナ禍で訪日できない外国人をターゲットにしたものです。
伊藤先生からフィードバックをもらいながら、今の自分が生み出せる最大限のプランで挑んだコンテスト。結果は応募総数169件の中から「優秀賞」を受賞。大学生活で初めて掴み取ったこの大きな成功は、身体が震えるほど嬉しかったです。こうしてまた夢の実現に向けて走り出すことができました。
写真:コンテストで起業プランを説明する中山さん
写真:考案したVR観光で実際に商品を購入する映像
ーおわりにー 「休学」は怖くない
これが僕の「起業の学び方」です。多くの仲間や大人、そして何より伊藤先生に支えられながら走ってきた僕の体験談でしたが、起業の学び方に正解や間違いはありません。
先に学んだ経験者として一つだけ伝えられることは、休学する選択を恐れないでください。
個人的な考えですが、休学に対するリスクは世間が思っているよりもずっと低い。明星大学の場合、休学費用は年間37,000円(※2021年3月時点)。大学に在籍したまま、自分のやりたいことへチャレンジできます。リスクがあるとすれば、同級生たちと一緒に卒業できないことくらいでしょうか。
大学は必ずしも4年間で卒業しないといけない場所ではありません。もし今、自分の進路に悩んでいるなら、休学制度を活用してやりたいこと・なりたいものを見つける選択肢も知っておいてください。
2年間の休学を経験した僕もこの春ついに卒業。今後は活動拠点を地方に移し、ビジョンを共有する仲間たちとサービスの実現に向けて、少しずつ前に進んでいきます。
皆さんもぜひ、自分がやりたいこと・成し遂げたいことは何なのかをご自身に問いかけて、チャレンジしてみてください。
大切なのは「自分の意志で夢を描き、動くこと」です。
写真:コンテストの表彰式後、目録を手に取る中山さん(右)