学長が聞く、学長に聞く―第10回―学生の、学生による、学生のための明星大学(後編)
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学長が聞く、学長に聞く―第10回―学生の、学生による、学生のための明星大学(後編)

廣瀬 杏実(教育学部 教育学科3年)×落合 一泰(学長)

アドミッションセンターの勤労奨学生の統括者として、高校生向けの広報活動に取り組んできた廣瀬さん。前編では、その活動の中での自身の成長と変化について伺いました。後編では、廣瀬さんから落合学長に気になっていることを質問していただきました。学生から見ると、ちょっと謎のヴェールに包まれている学長。でも、これを読めば学長が少し身近に感じられるかもしれません。

多面的なつながりが、新たな学びの土台になる。

廣瀬さん 落合学長は、私たち学生を見てどんな印象をお持ちですか?

落合学長 先ほどからの話に出てくるように、明星大学では上級生が下級生を本当によく面倒を見てくれているなと感じています。同じ学部学科の中にかぎらず、クラブ、サークルやボランティア活動などを通して、実に多面的につながりあっていますね。それが素敵だなあといつも思います。学内を歩いていても、1年生が何か困っていると、上級生らしき学生がスーッと近寄っていくという場面を見かけます。今はコロナ禍でやりにくい状況かもしれませんが、明星大学の温かくて明るい、いい伝統だなと思います。明星大学の文化なのでしょうね。

廣瀬さん それは私も実感しています。

落合学長 みなさん最初は慎重だけど、ひとたび動き出すとすごく速いですよね。私の方がちょっと待って!と言いたくなるくらいです。その行動力には感心するばかりです。本学では、明星大学の卒業生の皆さんが大勢、教職員として働いています。接していますと、学生時代に培ったポテンシャルを仕事の中でさらに磨いていると感じるんです。皆さん、あらゆる面で私を支えてくれています。ありがたいことと感謝しています。

廣瀬さん 普段、学生と関わる機会はあるのですか?

落合学長 たくさんありますよ。本学に赴任して以来、初年次教育の「自立と体験1」を担当してきました。1年生をずっと見てきたんです。この科目を運営する明星教育センター所属のSA(スチューデントアシスタント)さんたちとも付き合いがあります。その中で、学生のみなさんの目配りの素晴らしさを実感してきました。

「自立と体験1」関連記事:
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※「自立と体験1」は2014年度に日本高等教育開発協会の Good Teaching Award を、2019年度には初年次教育学会第1回教育実践賞の最優秀賞を受賞しました。
【SA(スチューデント・アシスタント)】
下級生の授業の運営をサポートする上級生のこと。勤労奨学生と同程度の水準の給与を得て活動しています。「自立と体験1」では、SAが年齢的に学生に近い立場でサポートを行い、下級生に良い影響を与えています。同時にSA自身もこの経験が成長する機会になっています。

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▲「自立と体験1」のひとこま。スクールカラーのポロシャツを着ている中央の学生がこのクラスのSAです。

廣瀬さん それをうかがって嬉しいです。では、2つ目の質問をしてもいいですか?明星大学は、今後どうなっていくのでしょうか?

落合学長 廣瀬さんは母校の将来も心配してくださっているんですね。ありがとう。
いま世の中では、少子化やAI技術の急速な進歩など大きな変化が起きています。明星大学は、そうした社会や時代の大きな動きに対応した教育を進めようと計画中です。
私は昨年学長になってすぐ、「明星大学教育新構想」を打ち出しました。新たな時代の求める個性ある高等教育機関を目指し、新しいプログラムや教育方法論でその実現を図ろうという構想です。その中で私が一番大事にしているのが、この対談シリーズでも何度かお話していますが、「学修者本位」という考え方です。学生が自主的に学び方を計画立てて、実行して、その結果をマネジメントできるようにしたい。そして、なりたい自分を自分で責任をもってプロデュースできるようにしたい、ということです。いま自分は学科のディプロマ・ポリシー*をどのくらい達成できているのか?学科が求める学修を、自分は順調に進めてきたか?単位はバランスよく取っているか?そうしたことを、学生が自分で管理できるようにしたいのです。自分が成長できたところ、強みに感じているところ、まだ足りないところなどを目に見える形で示して実感してもらいたい。そのための学修成果の表示システムをつくりたいと思っています。

*【ディプロマ・ポリシー】
どのような力を身に付けた者に学士号を授与するかを定めた、大学、学部・学科の基本的な卒業方針のこと。卒業を目指す学生の学修目標になります。
関連記事:学長が聞く、学長に聞く―第5回―Why? eポートフォリオ
学修者本位の学びを実現するための基盤のひとつとして整備を進めている「eポートフォリオ」の構想について述べられています。

廣瀬さん それは、すごいですね。

落合学長 もちろん卒業に必要な単位は満たさなければいけないけれど、そこに至る道のりは一人ひとり違っていていい。とにかく自分で計画を立てて実行してもらいたい。そしてそのプロセスと成果を、責任をもって自己管理する―それが本当の意味での「学修者本位」なのではないかと考えるのです。

さきほど、大学に入ったら全部一人でやるものだと思っていたとおっしゃっていましたね。Do It Yourself(自分だけでやろう)でなきゃ、と考えていらしたわけです。でも、これからは Do It with Others(みんなで一緒にやろう)の時代です。いろいろな知識や経験、専門性を持った人たちが集まって、ひとつの課題に向き合う。そうすれば、今までになかった新しい発想でみなで課題を解決できるかもしれません。いまの時代には、複数の人間が互いに補い合いながらでないと解決できない課題がなんと多いことか。それを本学の強みであるワンキャンパス9学部12学科の中で実践し、協働する力を磨いていってもらいたいと思っているんです。

廣瀬さん さきほど落合学長も担当してきたとおっしゃっていましたが、明星大学には、入学早々に学部学科を超えてみんなで学ぶ「自立と体験1」という授業があって、私は大好きでした。2年生以降でも他学部他学科の学生と一緒に学びあう機会があるといいなあと思います。

落合学長 実は、それをすでに実現している学部学科があるんですよ。デザイン学部と経営学部が組んでコラボ企画を提案したり、情報学部と人文学部国際コミュニケーション学科が観光アプリを開発したり。聞いているだけでも、ワクワクする授業だと思いませんか?

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▲情報学部と人文学部国際コミュニケーション学科が協働でウズベキスタン観光用アプリを開発、政府機関に提案を行いました。

廣瀬さん 私たちの教育学部も、何か一緒にできるといいな、と思います。

落合学長 最近は「脱炭素」が地球規模の課題だと言われていますよね?私たちは理工学部の話だと思いがちですが、そのことを子どもたちに教えるとなると教育学部のテーマにもなります。脱炭素化の影響が今後日本や世界の経済や会社経営にどのような影響を及ぼすかは、経済学部や経営学部のテーマにもなるはずです。自分の専門だけでは解けない課題をみんなで考えていく。本学をそういう場所にしたいと思っています。もうひとつ、本学のキャリア教育・キャリア支援の刷新と強化も「明星大学教育新構想」に入っているんですよ。

廣瀬さん すごく楽しみです!

先輩から後輩へ。思いやりのリレーをこれからも。

廣瀬さん 最後にひとつお願いが。学生は、この1年半近くコロナ禍のなかで頑張ってきました。落合学長からそんな学生たちにメッセージをいただけますか?

落合学長 明星大学は、これまで学内を起点とした感染者を出していません。これは、学生のみなさんの日々の努力と我慢と工夫のおかげだと、本当に感謝しています。コロナ禍になってからは、みなさんの安全を最優先にしつつ、学修の機会を保障することを考えてきました。現在は対面授業とリモート授業を50%ずつにして、両方を組み合わせることで、通学してくる学生数をコロナ禍前の3割程度に抑えています。この施策が功を奏してきたわけですが、気がかりなのは、経済的に大変な学生や、気持ちのハリをなくして辛い思いをしているかもしれない学生のことです。困っている学生には遠慮なく大学に相談してほしいのです。いろいろな専門家がスタンバイしています。廣瀬さんのまわりにもし気になる学生がいたら、ぜひ声をかけてあげてくださいね。

廣瀬さん もちろんです。去年コロナ禍のなかで入学した今の2年生は、とくに気がかりですよね。

落合学長 本当にそうです。対面授業は5割に戻しましたが、廣瀬さんのような先輩たちと触れあう機会をもっとつくっていかなければいけない。去年、アドミッションセンターの勤労奨学生で廣瀬さんの先輩にあたる草野雅さん(第2回目の対談に登場)と話をしたときに、上級生主催の新入生交流会というアイデアが生まれました。そのアイデアを、学生の皆さんがすぐに実行に移してくれましたよね。今年の初めにその輪が大学全体に広がって、全学部学科で先輩との交流会が開かれました。遠くにいて来られない学生に対しても工夫を凝らしてくれました。いまのような困難な状況下でも、上級生が下級生を思いやり、寄り添ってくれる。本学の良さが受け継がれていることを目の当たりにして、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

新入生交流会

▲2020年9月、教員主催の1年生との交流会が全学科で開催されました。写真は廣瀬さんの所属する教育学部教育学科特別支援教員コース(障がいをもつ子どもたちの自立と社会参加のための教育を担う教員の養成コース)でのひとこま。2021年2月~3月には、上級生が主催する1年生との交流会が全学科で実施されました。

履修のお手伝い

▲新2年生の履修計画立案をサポートする廣瀬さん(2021年4月)。上級生が下級生を自然にケアするのも明星大学の文化のひとつです。

廣瀬さん まだまだ先輩たちのように上手くできないことも多いのですが、私たちが信じるやり方で明星大学の伝統をつないでいきたいと決心しています。

落合学長 今日は、あらためて学生のみなさんを頼もしく、誇りに感じました。いろいろなお話を聞かせてくださり、廣瀬さん、ありがとうございました。

廣瀬さん

学長

33号館(勤労生_廣瀬さん)


キャンパス写真館――西日を浴びるキャンパス
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