学長が聞く、学長に聞く―第9回―学生の脱皮力を鍛える!新しい「学びの場」をつくろう(後編)
新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。またコロナワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
見出し画像

学長が聞く、学長に聞く―第9回―学生の脱皮力を鍛える!新しい「学びの場」をつくろう(後編)

今野 貴之 准教授(教育学部教育学科)×落合 一泰(学長)

「教え」と「学び」が一体化した今野先生の教育研究活動。それを伺った前編に続いて、後編では今野先生から落合学長に2つの質問をぶつけていただきました。理想の学修環境について語り合うなかで、ふたりのお話しのスケールがどんどん大きくなっていき…。これからの明星大学での学びはどう面白くなっていくのか!?在学生のみならず、受験を控えた高校生のみなさんにとっても、夢と期待がふくらむ内容です。

より良い学びをつくるには、「場」と「人」が大切

落合学長 私ばかりお尋ねしてきましたので、今野先生にも質問していただきましょう。

今野准教授 はい。ここまでは、学生にさまざまな体験をさせるための環境作りについてお話ししてきました。その先には、私の思い描く理想の学修環境があります。それは、学部学科や学年を越えた学びの場です。理工学部や情報学部など、理系の学部には広い研究室があって、1年生が上級生や大学院生の活動を見ることができます。一方で教育学部や人文学部など社会科学系には、そんな場所がありません。落合学長は、学修環境について、どのようなお考えをお持ちか聞いてみたいです。

落合学長 私も縦と横(学年縦断+学部横断)を繋ぐ学修環境について考えてきました。昨年6月、私は「明星大学教育新構想」を打ち出しました。いま、その具体化に着手しつつあります。私は、明星大学に四つの学修の場を作りたいと思っています。第1がいろいろな学生が集まり、それぞれの専門分野を掛け合わせて学んでいくクロッシングの場。第2は各自が専門分野の学びを深めるセントラルな場。学部学科での専門教育や資格取得がそれにあたります。第3がSDGsやDX(デジタル変革)、GX(脱炭素や気候変動対策などのグリーン変革)のような、時代が要請する最先端を学ぶ場。そして、第4が「明星大学らしい学びの場」です。

今野准教授 「第4の学修領域」とは、どんな学びの場ですか?

落合学長 本学では、ボランティアセンターや明星教育センター、キャリアセンターなど、各センターでの取り組みが充実しています。いずれも専攻や学年や学内限定のような制約を取り外さないと成立しない、「実践躬行の体験教育」を重視するセンターです。それらを上手に連携させたいんです。そこを、社会で活躍する卒業生たちと交わる場所にもしたい、と。そこには、同じ明星学苑の明星高校の生徒が来てくれても構わない。関心を共有する企業や近隣の皆さんに参加してもらってもいいかもしれませんね。そんな場所をイメージしています。つまり、いろいろな人々が、リアルであれバーチャルであれ、集まって力を合わせている姿が「見える・見られる」状況を作りたいのです。

今野准教授 とても大きな構想ですね。

落合学長 一気に実現することは難しいので、どう進めていくか、吉川かおり副学長をリーダーに構想してもらっているところです。今野先生がおっしゃるように、社会科学系の学生や教員が敷居を低くしあって学びあう環境をつくり、理系、融合系の学生や教員もそこに興味津々で関わってくる場面を増やしたいのです。新しいアイデアが生まれ、何かが生れ落ちる場になるかもしれません。学生たちの間には、他学部の人たちとコラボレーションしたいという声が強いですね。もうやっていますよと、成果を見せてもらったこともあります。ワンキャンパスに9学部12学科が集積している明星大学の強みをどう教育・学修活動に活かすか。それが今後の本学の大きな課題であり可能性だと考えています。

今野准教授 私は、「場所」が大事だと思います。今はオンラインでやることもできますが、対面で会ってお互いの仕草なども見て、そこに行き交う情報を全体として把握して活かしていくには、リアルな場所が必要です。

落合学長 おっしゃるとおりです。2021年度、明星大学は授業の50%強を対面授業に戻しました。オンライン授業の良さも分かってきました。しかし、パソコンのモニターには文字情報や映像資料や相手の顔しか出ません。息遣いや言葉の余白を共有することは困難です。明星大学は、そうした「ノンバーバル・コミュニケーション」が行き交うリアルな場を取り戻さなければいけません。たとえば図書館です。千葉大学や明治大学、九州大学、同志社大学などは、図書館をいろいろな人が集まる空間=フォーラムとしても利用しています。青山学院大学も、同じようなコンセプトで新図書館を建てようとしています。本学にはすでに明るく広々とした素晴らしい図書館がありますので、そのなかに集える空間、いろいろなことを相談できる場所を、「見る・見られる関係の創造」を積極的なコンセプトとしてリアルに作っていくつもりです。

画像2

▲明星大学図書館

今野准教授 場所ができたら、そこには「つなげてくれる人」が必要になりますね。箱やモノだけではなく、関わる人たちの物理的・精神的な「境界」を崩してくれる人の存在が大事だと思います。

落合学長 それには、柔軟で優秀な学生の力をぜひ借りたいと思っています。管理は教職員が担当しますが、いわゆるコーディネーター的な役割は学生に任せていいと思います。学生の方が発想が豊かで面白いでしょうし、経験を積むなかで学生の能力も伸びると思います。学内外との人間関係もけっこう持っていますしね。

今野准教授 先ほど高校との連携についてお話しになりました。何か具体的な取り組みや構想はあるのですか?

落合学長 この対談シリーズの第7回に来ていただいたデザイン学部の西本先生が、毎年、明星高校にプレゼン講座を「出前授業」しに行っています。第1回の情報学部・山中先生は、明星小学校にプログラミングを教えに行っています。明星大学は幼稚園から大学院まである総合学苑・明星学苑の一角をなしていますから、こうした「縦割り」の取り組みができるわけです。

西本先生プレゼン講座

▲西本教授によるプレゼン講座(明星高校、2021年6月)

今野准教授 私も学校現場との取り組みで、いろいろな高校と直接やりとりしていますが、もっと連携を深められるといいなと思ってきました。

落合学長 今野先生もご担当の初年次教育科目「自立と体験1」の授業を、明星高校の先生方に非常勤講師として担当していただいたんです。そうしましたら高校の先生方は、明星大学では1年生に対してこんな良い教育をやっているのかと驚き、生徒を送り込む立場として安心できるとおっしゃったそうです。学校間の教員同士の行き来、個人的な連携や信頼などが大事だと、私も気づかされました。

「自立と体験1」
明星大学が重視する教育方針「実践躬行の体験教育」にもとづく初年次必修科目「自立と体験1」。2,000名以上の新入生を、所属学部を混ぜた学部横断型の70クラスに分け、さらに細分化したグループワークを通して大学生活の基盤をつくります。1キャンパスに9学部12学科、多様な学生が行き交う本学だからこそ実現できる、本学の特徴的な科目です。

先生同士のクロッシングが、学びを進化させていく

今野准教授 教員同士の連携のお話が出たところで、2つ目の質問です。今の指導方法は、一人の教員が担当を持って教えるという形です。しかし、複数の学部の教員がチームのような形で学生を受け持つ学修環境をつくるのは、明星大学で可能でしょうか?

落合学長 教員それぞれの背景の違いを立体的に活用しようというわけですね。学部間で共通の授業を立てればできますし、他の学部の先生を学内兼任教員に任命すれば自分の学部の授業を一緒に担当してもらえます。

今野准教授 すでに理系の先生たちは、他学科の先生にコメントをもらってこい、というようなことを学生に指示していますね。

落合学長 教育学部でもできると思いますよ。また、文部科学省は、「学部等連係課程」という新しい教育の形を示しています。さまざまな学部から先生が集まって指導する方式です。ひとつの専門性を極めればよいというこれまでの大学教育では、新しい時代の複合的な社会課題に対応する人材を育成できない場合が多くなってきたからです。こうした新しい教育観・学修観が広がって来ているなと感じています。

今野准教授 実際にやるとなると、リクスマネジメントの問題が出てきます。1人の教員の目の届く範囲もあるので、人数が多くなるとやりたいことができなくなるジレンマもあるかもしれません。

落合学長 私は、リスクの反対語はチャレンジだと思っています。挑戦すれば何かしら課題が出てくるものです。それをリスクと呼ぶかチャレンジの機会ととらえるか。本学の人文学部国際コミュニケーション学科では、コロナ禍前には東アフリカのザンジバルに20人を超える学生を連れていっていました。教員1人では全体を見渡せませんから、核になる学生(なかにはザンジバル2回目という学生も)をトレーニングし、学生アシスタントとしてサブグループの統括をしてもらっていたそうです。うまく運用すればリスクを軽減できますし、学生のトレーニングにもなります。学生同士の信頼感も含め、危機対応や安全確保につながると思います。コロナ禍が落ち着いたら、ふたたびザンジバルをはじめ世界各地に大勢の学生を送り込みたいものです。

画像4

▲国際コミュニケーション学科 海外フィールドワーク(ザンジバル、2019
年8月)での現地小学校訪問

画像5

▲国際コミュニケーション学科 海外フィールドワーク(ザンジバル、2019
年8月)での現地中等学校訪問

今野准教授 学生同士のつながりを深めるという点では、さきほどの落合学長のお話にあった、「明星大学らしい学びの場」をめざす「第4の学修領域」がよい拠点になるのではないでしょうか?

落合学長 私もそう考えているんですよ。こうしてお話ししていると、アイデアが次々に湧いてきますね。今野先生、これからもどんどん学生を非日常に連れ出し、次なる自分へと「脱皮する力」を鍛えてあげてください。さらに、国内外での現場経験に基づく教育改革提案を、どんどん出していただければと願っています。一緒により良い学びの場・明星大学をつくっていきましょう!

アンソレイエ(今野先生)


キャンパス写真館――学生たちが自由に語らい、交流し、表現できる場所
明星大学は、東京都の日野市にキャンパスを構える私立大学です。 noteでは「顔が見える」「”人”を感じる」コンテンツを通して、明星大学のことをより身近に感じてもらえたら嬉しいです。 どうぞよろしくお願いいたします。